活動報告

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長崎市飯香浦町「地蔵まつり」

鉦が鳴る丘の上で。

夕暮れ、長崎市飯香浦町。

成尾地蔵堂を目指して坂を上ると、海風とともにかすかに鉦(かね)の音が響き始めました。

まもなく500年を迎える地蔵まつりです。

鉦を打ち鳴らし念仏を唱える「鉦張り」が始まりました。

ろうそくの灯りがともされ、飾りそうめんが美しいお堂に地域の世代が集まっています。

厳かな空気の中、節回しも独特な口伝の声が木霊し、音と祈りが重なって、時を超える。

鉦のリズムは、この土地に流れる記憶そのものです。

成尾地蔵が祀られたのは1533年。

約500年にわたり、地域の人々は変わらぬ所作で、家内安全と平穏を願ってきたといいます。

特注の生そうめんを編み、飾りとして供える「飾りそうめん」は、市の無形民俗文化財です。

風を避けた静かな部屋で黙々と編まれる白い糸は、祈りの形そのものだと思います。

あと8年で500年。続けることの重みがあると保存会の峰富士雄さんは話してくれました。

この祭りは観光イベントではありません。

日常の延長にある祈りであり、地域の誇りだと感じました。だからこそ、インバウンド観光としての魅力も感じました。

幻想的な空間で私はただ静かに座り、その偉大な営みに身をゆだねました。変わらぬ音、変わらぬ祈り。

男たちの横顔。

500年続く時間の重みが、確かにそこにありました。

お世話になりました。

ありがとうございました。

また。

                  令和7年7月25日付

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