
平戸市、世界初のアルベルゴ・ディフーゾタウンへ
日本国 長崎県 平戸市
アルベルゴ・ディフーゾ・タウン認証式
イタリアの碩学、ジャンカルロ・ダッラーラ氏が提唱した未来の観光と地域創生の鍵を握るコンセプト「アルベルゴ・ディフーゾ」
これを直訳すれば「分散したホテル」となります。しかし、その本質は単なる宿泊施設の形態を指す言葉ではありません。それは、街全体がひとつの大きな宿となり、訪れる人々を温かく迎え入れるという、壮大で心豊かな哲学なのです。
過疎化によって静けさを増した平戸市で、かつて家族の笑顔に満ちていた空き家が客室となり、レセプションは港の小さな広場で、そしてレストランは地元の人が集う馴染みの居酒屋や食堂がその役割を担います。
旅行者は「観光客」としてではなく、一時的な「平戸の住民」として迎えられます。海の香り、時を知らせる防災無線の音楽、お城が見える風景、波止で交わされる挨拶。そのすべてが、ホテルという名の舞台の不可欠な要素となるのです。
これは、ただ景色を眺めるだけの旅ではなく、平戸の日常に溶け込み、文化や人々の息遣いを肌で感じる「暮らしの旅」と言えると思います。
このような体験が、人生をより一層豊かにしてくれるのではないでしょうか。
この仕組みは、一つの大きな資本が巨大なホテルを建設するのではなくて、地域の人々が手を取り合い、いまある、これまでもあった街の建物や歴史やお祭りや、習慣を整えて旅行者を迎え入れるのです。
それはきっとコミュニティの絆を再び紡ぎ直し、平戸の誇りを未来へと繋ぐ、力強い営みとなると思います。
アルベルゴ・ディフーゾの神髄は、単なる空き家の活用術ではないのです。それは、人と人との出会いを演出し、地域全体を舞台とした「本物の体験」を提供する、持続可能な未来への招待状に他なりません。
黒田成彦市長がおっしゃる「懐かしい未来」という言葉の意味がようやくわかり始めました。
長い年月をかけ、街の魅力をしっかり整え、それぞれの点や線を面として、最後に大きくあくまでも平戸のまま「アルベルゴ・ディフーゾ」として包み込む。言い尽くせませんが、偉大な取り組みです。
この素晴らしい理念が、私たちのこれからの地域づくりや人との繋がりのあり方を考える上で、大きなヒントとなることを確信しました。
認証おめでとうございます。
あらためて黒田成彦市長をはじめ、関係者の皆さんのお取り組みに心からの敬意を表します。